2024/08/21
過去のブログ紹介 襖(ふすま)の修復 4
過去のブログ紹介、前回に続き襖(ふすま)の修復4(骨の下張り作業)
についてのご紹介です。
前回は本紙の洗浄についてお話し致しました。
襖は骨に紙を何層も貼って作られます。その上に本紙を貼り込んで完成します。襖の修復2で解体のお話をしましたが、その時の図をもう一度張っておきます。これが襖全体の構造です。
今回は骨の状態が良かったので、再使用することにしました。旧下張りを剥がした後、作業を進めていきます。まず最初にする作業は「骨縛り」です。骨に濃い生麩糊を塗り、丈夫な楮紙を貼っていきます。今回は細川紙を使いました。骨の組子が緩んで歪まないように、丈夫な楮紙を貼って押さえることが目的です。
次に「同貼り」です。これは骨のヤニを吸収し、透けるのを防ぐために、ベタ貼り(紙の全面に糊を付けて貼ること)をします。泥入り間似合い紙のような填料(てんりょう)の入った紙を使用します。伝世舎ではタルク入りの楮紙を使っています。
続きはブログをご覧ください。
伝世舎blog日日是好日
についてのご紹介です。
前回は本紙の洗浄についてお話し致しました。
襖は骨に紙を何層も貼って作られます。その上に本紙を貼り込んで完成します。襖の修復2で解体のお話をしましたが、その時の図をもう一度張っておきます。これが襖全体の構造です。
今回は骨の状態が良かったので、再使用することにしました。旧下張りを剥がした後、作業を進めていきます。まず最初にする作業は「骨縛り」です。骨に濃い生麩糊を塗り、丈夫な楮紙を貼っていきます。今回は細川紙を使いました。骨の組子が緩んで歪まないように、丈夫な楮紙を貼って押さえることが目的です。
次に「同貼り」です。これは骨のヤニを吸収し、透けるのを防ぐために、ベタ貼り(紙の全面に糊を付けて貼ること)をします。泥入り間似合い紙のような填料(てんりょう)の入った紙を使用します。伝世舎ではタルク入りの楮紙を使っています。
続きはブログをご覧ください。
伝世舎blog日日是好日
2024/07/17
過去のブログ紹介 襖(ふすま)の修復 3
過去のブログ紹介、前回に続き襖(ふすま)の修復3(本紙の洗浄)
についてのご紹介です。
前回は襖を解体しました。これで骨と本紙に分解されました。
本紙には経年の汚れ、シミ、破れなどが数多くあり、とても
劣化していて慎重な修復が必要です。
まずは本紙の洗浄から始めます。
処置に入る前に解体して分かったことが一つあります。
これは小襖の角、今まで縁(ふち)に覆われていた縁裂(へりきれ)
の部分に以前の色が残っていました。
これを見ると元々は濃い緑だったようで、それが褪色して薄茶色に
なっていました。裂自体は脆弱化していましたので新調しますが、
色をどうするかが大きな問題になります。元に近い色にすることも
考えましたが、今回は本紙も変色・褪色していることを考慮して、
その雰囲気に合った色を選択することにしました。
元の色では強すぎて、肝心な絵がかすんでしまいます。
さて、閑話休題。元に戻して本紙の洗浄です。
洗浄は汚れを落とすことが第一の目的ですので、ここで漂白などの
作業はしません。漂白をすると紙の繊維自体がボロボロになり、
健全に保つことができなくなります。また、次の修復も
できなくなる可能性があります。また、洗剤等の薬品も使いません。
もともと江戸時代以前の修復に、洗剤などは使用されていません。
それで何百年も作品は保たれてきました。
今回も精製水を40℃くらいに暖めて使いました。
続きはブログをご覧ください。
伝世舎blog日日是好日
についてのご紹介です。
前回は襖を解体しました。これで骨と本紙に分解されました。
本紙には経年の汚れ、シミ、破れなどが数多くあり、とても
劣化していて慎重な修復が必要です。
まずは本紙の洗浄から始めます。
処置に入る前に解体して分かったことが一つあります。
これは小襖の角、今まで縁(ふち)に覆われていた縁裂(へりきれ)
の部分に以前の色が残っていました。
これを見ると元々は濃い緑だったようで、それが褪色して薄茶色に
なっていました。裂自体は脆弱化していましたので新調しますが、
色をどうするかが大きな問題になります。元に近い色にすることも
考えましたが、今回は本紙も変色・褪色していることを考慮して、
その雰囲気に合った色を選択することにしました。
元の色では強すぎて、肝心な絵がかすんでしまいます。
さて、閑話休題。元に戻して本紙の洗浄です。
洗浄は汚れを落とすことが第一の目的ですので、ここで漂白などの
作業はしません。漂白をすると紙の繊維自体がボロボロになり、
健全に保つことができなくなります。また、次の修復も
できなくなる可能性があります。また、洗剤等の薬品も使いません。
もともと江戸時代以前の修復に、洗剤などは使用されていません。
それで何百年も作品は保たれてきました。
今回も精製水を40℃くらいに暖めて使いました。
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伝世舎blog日日是好日
2024/06/12
過去のブログ紹介 襖(ふすま)の修復 2
過去のブログ紹介、前回に続き襖(ふすま)の修復2(作品の解体)
についてのご紹介です。
前回、修復前の調査を行いました。
それが終われば解体作業に入ります。
調査したところ、本紙には経年の汚れ、シミ、破れなどが数多くあり、
とても劣化していて慎重な修復が必要であることが分かりました。
解体作業をご覧に入れる前に、襖の構造をお話しします。
襖の構造は図のようにかなり重層構造を持っています。
骨(木の骨組)に何層もの和紙を工程ごとに違う方法で貼っていきます。
これを「下張り」 といいます。
これはパネル構造自体に強度を持たせる、
骨を補強して歪みが出ないようにする、
骨と本紙の伸縮の差を吸収し、裂けの損傷をくい止めるなどの、
本紙の伸縮に対しての緩衝材としての役割をします。
四季による温湿度の変化を下張り部分で吸収し、
本紙を傷めないための昔からの知恵です。
骨の上に8層の紙を貼り(骨縛り,同貼り.蓑掛け.蓑縛り.下袋.上袋)
最後に本紙を貼り込みます。そのため大量の紙が必要になります。
襖の構造が分かったところで解体のお話です。
まず、縁木(フチ)を外し、引き手も外します。
続きはブログをご覧ください。
伝世舎blog日日是好日
についてのご紹介です。
前回、修復前の調査を行いました。
それが終われば解体作業に入ります。
調査したところ、本紙には経年の汚れ、シミ、破れなどが数多くあり、
とても劣化していて慎重な修復が必要であることが分かりました。
解体作業をご覧に入れる前に、襖の構造をお話しします。
襖の構造は図のようにかなり重層構造を持っています。
骨(木の骨組)に何層もの和紙を工程ごとに違う方法で貼っていきます。
これを「下張り」 といいます。
これはパネル構造自体に強度を持たせる、
骨を補強して歪みが出ないようにする、
骨と本紙の伸縮の差を吸収し、裂けの損傷をくい止めるなどの、
本紙の伸縮に対しての緩衝材としての役割をします。
四季による温湿度の変化を下張り部分で吸収し、
本紙を傷めないための昔からの知恵です。
骨の上に8層の紙を貼り(骨縛り,同貼り.蓑掛け.蓑縛り.下袋.上袋)
最後に本紙を貼り込みます。そのため大量の紙が必要になります。
襖の構造が分かったところで解体のお話です。
まず、縁木(フチ)を外し、引き手も外します。
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伝世舎blog日日是好日

