「美術品/日本画」修復・保存

お知らせ
2024/01/16

過去のブログ紹介 寒糊を煮ました。

過去のブログ紹介 寒糊を煮ました。
過去のブログ紹介、今回は寒糊を仕込むお話しです。

修理や表装で使う糊は生麩(正麩)という小麦粉澱粉を煮たものです。
糊はその都度煮て使います。寒糊とは、冬の一番寒いときに煮た生麩糊のことを言います。
それを瓶に入れて数年~10年くらい寝かせます。寝かせた糊を古糊と言います。
古糊は、掛軸や巻物などの巻いたり広げたりするような柔軟性を必要とする表装作品の裏打ちに使います。
長い間寝かせているので、もちろんカビが生じます。
カビている部分を取って白っぽく残っている部分を使います。
そのため、10年くらい経った糊の量は1/10くらいに減ってしまいます。
とてもとても貴重な糊です。

糊は煮る直前まで、小麦粉澱粉を水に浸けて膨潤させておきます。
ゲル状になっていて面白い感触です。水は精製水を使っています。
これを鍋で約30分ほどかけてかき回しながら煮ていきます。
なかなか疲れる作業です。

出来上がりましたらそれを瓶に入れます。
寒い時期に煮るのは熱々の糊が早く冷えるためです。

封印して冷暗所で寝かせます。
次にカビの除去のために開けるときは1年後です。
近くに100年を超すお屋敷があり、台所の床下をお借りしています。
大丈夫ですよ、臭いは漏れません。

続きはブログをご覧ください。

伝世舎blog日日是好日
2023/12/13

過去のブログ紹介 修復に使う糊のお話し ~打ち刷毛を使って~

過去のブログ紹介 修復に使う糊のお話し ~打ち刷毛を使って~
今回は、修復に使う糊のお話しです。

接着剤は、接着力が強くて剥がれない方が良いというイメージはありませんか?
ところが修復に使う接着剤は、剥がせることが重要なんです。

修復をする作品は、長い年月を経てたり、損傷があったりと脆弱化している状態です。
強力な接着剤で貼った紙を剥がそうとすると、作品が剥がす力に耐えられなくて、
もっとボロボロになる危険性があります。
将来の修復や、作品に損傷が生じた場合に、作品に負担が掛からないように
接着剤が除去できることが大切です。

そのためには、どのような接着剤を使うのか?

日本画や書の表装や修復に使う接着剤は、昔から「生麩糊(正麩糊)しょうふのり」です。
日本画や書の補強や、掛け軸や額などの表装を仕立てるために、裏面に紙を貼ります。
そのことを「裏打ち」といいます。その裏打ちに使う接着剤が生麩糊です。

原料は小麦粉澱粉です。使う度に小麦粉澱粉を煮て、生麩糊を作ります。
裏打ちは、表装の形や素材、工程によって、紙の種類や厚さ、接着剤の濃さなどを変えて行います。


詳細はブログをご覧ください。

伝世舎blog日日是好日
2023/07/11

過去のブログ紹介 セロハンテープ痕の修復作業 その3 サクションテーブルでの作業

過去のブログ紹介 セロハンテープ痕の修復作業 その3 サクションテーブルでの作業
前回はサクションテーブルを自作する所までお話ししました。
今回は実際にそれを使った作業についてお話しします。

左の写真はセロハンテープの接着剤痕です。
この接着剤痕は40年近く経過した状態です。
テープは剥がれてしまっていますが、接着剤が残って、
すでに茶色くなって硬化しています。
さらに紙作品の裏面にまで浸透して、茶色い変色が分かります。
そこでサクションテーブルの出番です。

このやり方は、溶剤を使って接着剤を緩めて、
吸い取り紙に吸着させる方法です。
溶剤は浸透性が高いので、緩んだ接着剤が回りに広がって染みにならないように、
吸引しながら処置を行います。
(溶剤を塗っている写真です。)

詳細はブログをどうぞ。

伝世舎blog日日是好日